まるで夢の世界に迷い込んだ感じであった。「史上、最も大きく最も豪華な宮殿を建てよ」と命じたのは太陽王ルイ14世であった。その通りにフランスは莫大な費用を費やし、50年間もの長きに渡り総力を挙げて建設に取り組んだ。完成したのは1710年だから丁度300年前のことになる。
贅を極める宮殿内部は目も眩むほどの絢爛豪華であった。なかでも「鏡の回廊」は1871年にドイツ皇帝ヴェイルヘム1世の即位式が行われ、更には1919年「ヴェルサイユ条約」の調印が行われ場所でもある。長さ75m、幅10m、高さ12mという壮大なスケール。見上げると天井にはルイ14世の生涯が描かれていた。そしてゴージャスなクリスタルのシャンゼリア、578枚もの大きな鏡は圧巻であった。それは装飾芸術の傑作中の傑作といっても過言ではなかった。こうした部屋が延々と続いているから驚きである。
もともとこの場所は沼地であったが、森を移し川の流れを変えて大自然を大改造したもの。建物のゴージャスさもさることながら、約100ヘクタールもの広さを誇る庭園も見事なものであった。美しい幾何学模様が描かれたフランス式庭園。ルイ14世は庭園の工事現場にも毎日曜に見て回り、大事な来客達のため最適な庭園巡りのコースまで書き残している。
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