迫力あるエンジン音が町中に響き渡る感触を思い描いていた。バスがすれ違うのにやっとの狭い道であった。モナコの地形は地中海と切り立った山が接近した坂と階段で造られた町であり国であった。町中がまるで迷路のような道路事情であった。

　 この場所が時として「モナコＦ１グランプリ」のサーキットに変身させるのだ。常設のサーキットは造られたコースで安全性に配慮されている。そして観客席の設置からフェンス、芝生など十分な空間が設けられている。それに比べてモナコの場合は生活一般道路が、そのままサーキットに使われているのだ。 それだけに高い技術力と勇気あるハンドル操作が要求される。Ｆ１ドライバーにとっては他のレースとは違い、スリリングなこのコースを制することで特別の意味合いと、大いなる名誉が与えられるのだ。

　私の大好きなハリウッドスターで、その後モナコ王妃となったグレース・ケリー。１９８２（昭和57）年にモナコの地で、突然の自動車事故で亡くなっている。更に日本でも人気の高かった「高速の貴公子」Ｆ１の英雄アイルトン・セナが、１９９４（平成6）年のＦ１サンマリノＧＰレース中に事故死している。共に私にとっては悲しい自動車事故であった。