秩父を訪ねたのは初めてであった。しかしこの地名は子供の頃から親しみを持っていた。と言うのも大相撲に「若秩父」という人気力士がいたのだ。醜名(しこな)に「若」が付く力士はたくさんいるが、その下に「秩父」という地名が忘れられない。
関東平野は実に広い。東京から延々と車で走り埼玉県北西部の山にぶち当たる辺りが秩父である。山々を超えると山梨県となる。このあたりの山は全てが紅葉で、赤、黄、オレンジ色に輝いていた。晩秋の日本、最高の演出で私を迎えてくれた。
この紅葉の道(国道140号)を奥へ奥へと進むと、突然美しい橋に出てきた。愛称は雷電(らいでん)廿六(とどろ)木(き)橋(ばし)と呼ばれるループ橋で、滝沢ダムの125mの高低差を結んでいる。デザイン的な工夫が凝らされていると共に、自然環境の保全に配慮されたものである。この橋は1998(平成10)年10月に開通しているが、地理的条件から大変な努力があったものと想像に難くない。
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