時として自然は不思議な現象を演出してくれる。それは人間の常識を遙かに超えた驚きの世界でもあるのだ。特に世界自然遺産に見る鹿児島県の屋久島での屋久杉の巨木。アメリカ・ヨセミテ国立公園の直径10メートルのセコイアの巨木などがそれにあたる。
兵庫県丹波市には「木の根橋」という変わった名称の橋がある。一般的には「柏原(かいばら)の大ケヤキ」と呼ばれている。これは樹齢千年とも推定され幹径6m、樹高21m、枝張各25m。根が川幅8メートルの奥村川をまたいで伸びていき自然の橋を造ったもので、根のトンネルの中を川が流れている。この巨木を見る限り人間でいえば100歳を超える長寿なのであろう。今では2本の支え木が痛々しくもあり、まるで松葉杖を突いているように見えた。しかしその生命力の偉大さに心から敬意を表すると共に、次の世代へも逞しく生き抜いてほしいとの祈りが込み上げてきた。ちなみにこの木は1970(昭和45)年には兵庫県指定天然記念物となっている。
|