◆ミキモト真珠島

 「世界中の女性の首を真珠でしめてご覧にいれます」とは御木本幸吉の言葉だ。美しい真珠は今や全女性の憧れであり、必需品とまでなっている。三重県鳥羽市にあるミキモト真珠島は、世界で初めて真珠の養殖に成功したゆかりの場所である。

  真珠王・御木本幸吉は鳥羽のうどん屋の長男として生まれ、30歳の頃から妻と共に真珠の養殖に着手。未経験の領域を果敢に挑戦した。しかし様々な苦難が立ちはだかっていた。そして御木本はアコヤ貝に核を入れるというところに着目。更に試行錯誤の毎日の連続を繰り返した。その苦労は47歳にして見事に報われた。真珠の養殖に成功したのだ!この快挙は世界中から注目を浴びたのは当然のことであった。

  この舞台となったのがミキモト真珠島である。今では鳥羽を代表する観光名所となっている。「御木本幸吉記念館」では生い立ちや遺品が並ぶ。「真珠博物館」では真珠の歴史、真珠の出来る仕組みを紹介。そして海底から浮かび上がる白い磯着の海女の実演では、哀愁漂う磯笛の音に大きな拍手を集めている。更には島の3分1の面積は樹齢200年を越す松、樫の木などが生い茂る自然林。そして御木本幸吉の大きく堂々とした銅像が立っている。それは96歳のサクセスストーリーの生涯であった。

  私が住む神戸は真珠の町とまで云われたこともある。ここには田崎真珠をはじめ全国からの大手真珠会社が集まっている。私の親戚、友人、知人の多くの人が真珠業界の仕事に携わっている。世界の女性の一人である私の妻も、真珠のネックレス、イヤリングは大切な装飾品として愛用している。それは女性の人生を飾る必需品なのだ。

2008年夏