◆津

 「日本で一番短い都市の名前は何処だ?」子供の頃によくクイズ遊びをしたものだ。三重県の県庁所在地「津」市が正解となる。ここは伊勢湾岸沿いに面しており、自然環境に恵また平野が広がっている。昔から港町として賑わい近年では大商工業地帯の一角を担っている。更に名古屋・大阪・伊勢等の交通の要所ともなっている。

  全国のどの城下町にも共通することは、現在の土地が高騰する中で、その城跡は市民にとって大切な公園となっているのだ。ビルが密集する中であってもここだけは静寂を保ち、憩いの空間となっている。 津城跡も近代的な街並みが続く市内の一等地にあった。それは津市役所のすぐ近くにあり、他の城跡に比べると少々小さめの敷地である。お堀を覗くとそこには様々な色の鯉をはじめ、たくさんの大きなカメが優雅に生息していた。更には鴨をはじめ野鳥も自由な生活を楽しんでいた。平和な時間がゆっくりと流れているように感じられた。城内に入って行くと小さいながらも見事に整備された公園があった。私はこのようなロケーションがたまらなく好きだ。

  元々ここは安濃津城と呼ばれ細野藤敦が1570年に築城。織田信長の弟の信包が入城後、関ヶ原の戦いの際の攻防で損傷を受ける。その後、藤堂高虎が1608年に四国は伊予の国から22万石で転封。城の大改修をした後は明治の取り壊しまで続いた。これは津市民の財産であり、未来に受け継ぐ貴重な空間でもあるのだ。

撮影2008年夏