「清水の舞台から飛び降りたつもりで」とは、思い切った行動を決断する時に使われる言葉である。誰もが人生の中で一度や二度、生死を分けた経験があるのではないだろうか。この清水の舞台とは、1994年にユネスコの世界遺産に登録された京都東山区にある、崖の上に建てられた清水寺本堂のことである。この本堂から8mほどせり出した舞台は、舞台造りといわれる建築様式で高さは13mある。18本の太柱に縦横139本の硬いけやきだけで組み合わせ、釘などは一切使わず高度な建築技術を駆使したものである。
寺の歴史は今から1200余年前の奈良時代の終わり778年に、音羽山の中に草庵を開いたことに始まる。その後この周辺は平安末期の興福寺と延暦寺の争いにまきこまれ、たびたび焼き払われ、現在の堂宇は1633(寛永10)年、3代将軍家光によって再建されたものが多い。
境内の広さは13万平方メートル。その広大な敷地内に建ちならぶ国宝の本堂・舞台と、重要文化財の数々の建築が美しく山合いに映え、春は桜、夏は緑、秋は紅葉、冬は雪景色と日本の四季それぞれの美しさを演出してくれている。
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