◆鮎の住める川

 美しく透き通った川の流れを見ていると、何故か心が洗われる思いがしてくる。止めどなく尽きることなく流れは動き続けていた。少々深い所であっても底まで見えている。環境省選定・名水百選に上げられた「千種川」の流れに、私は暫し見惚れてしまった。

 上流を辿ってみると、兵庫県、岡山県、鳥取県の3県が交わる辺りを水源としている。流路延長は約68kmで、瀬戸内海の播磨灘へ注いでいる。この川の流域には工場などが少なく、生活排水による汚染も下水道事業の推進で年々解消されている。

 綺麗な水質の川にしか生息しない魚の一つに鮎がいる。鮎は釣って楽しく、形も色も美しい。そして何よりも食べて美味しいが一番だ。今年は6月9日(土)が鮎解禁日であった。それを前に毎年1万匹の鮎の稚魚を放流している。太公望たちは長い竿を見事に扱いながら、川の中に入り込み釣りを楽しんでいた。

 この辺りをドライブしていると、「おとり」という看板がやたら目に付く。これは鮎の友釣りという方法での釣り方である。生きた鮎をおとりに釣り糸に付け川を泳がせる。すると鮎は苔の付いた岩に寄って行く。縄張り意識の強い鮎の性格から、近づいてきた鮎を追い払おうと体当たりをしてくる。その反動で針に引っかかり一緒に吊り上げられる仕組みになっている。

 鮎の塩焼きは夏の風物詩にもなっている。私の友人が鮎の養殖をしており、若鮎から子持ち鮎に至るまでお裾分けをしてくれる。毎年この季節の私の大きな楽しみとなっている。

撮影2007年夏