四国・今治市から「瀬戸内しまなみ海道」を通って、幾つかの島を渡った。そこは広島県因島市瀬戸田町(生口島)にあった。小さな素朴な島の中に、日本建築と庭園が美しい「平山郁夫美術館」があった。ここに入ると島根県にある横山大観で有名な、「足立美術館」を少し小ぶりにした見事なものであった。 現在を生きる最も好きな日本画家の一人が平山郁夫である。彼は瀬戸内海に浮かぶ生口島で生まれ育っている。人間の成長にあって子供の時の環境は極めて大切である。それは人生の後々まで影響を与えると思える。平山少年にとっても瀬戸内海の青い海、緑の山々、美しい島々、大自然は独特の感性を培ったに違いない。
中に入ってみると広々としたロビーには、初期の代表作である「仏教伝来」の陶板画が飾られてあった。そして少年時代の絵画、更には名画の下絵など、大作の数々を見ることができる。まるでここに入ると平山郁夫と出会ったような錯覚を覚えてくる。
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