同じ女性を見ても男性から見る女性像と、女性から女性を見る視点では自ずと違ってくるようだ。往々にして男性は外見を通して女性の美を評価しがちである。それに比べて女性同士の場合は、美しさもさることながら、その奧底にある性格や内面を見抜いて評価することが多い。 竹久夢二は男から見た女性の美しさを、独特の表現力で描き続けた大正浪漫を代表する画家であった。そして詩、歌謡、童話なども創作している。更には浴衣などのデザインも手掛けるなど、多岐にわたって活躍した人物なのだ。
夢二の生家を訪ねたのは、春の穏やかな日差しが美しい日であった。そこは岡山県瀬戸内市邑久町にある、土塀と竹林の山に囲まれた、茅葺屋根の田舎家であった。彼は波乱万丈の一生であった。絵を描き、詩を読み、多くの女性と恋をした。そして旅を通して美しい女性と出会い巡り会った。 |