◆ソメイヨシノの魅力

 「♪〜 さくら さくら 弥生の空は 見渡すかぎり かすみか雲か においぞ出ずる いざや いざや見にゆかん  さくら さくら 野山も里も 見わたすかぎり かすみか雲か 朝日ににほう さくら さくら 花ざかり」。

 これは「さくら」の歌であり、子供の時よりよく聞いた曲である。 厳しかった冬も終わると麗かな春が到来する。その象徴が美しいサクラの開花であろう。サクラにも沢山の種類があるようだが、日本を代表するサクラは「ソメイヨシノ」であろう。江戸の染井村の造園師や、植木職人によって育てられた「吉野桜(ヤマザクラの意)」をとって「染井吉野」と命名される。

 これはオオシマザクラとエドヒガンを、掛け合わせて作られた人工の品種である。最初の一本から挿し木や接ぎ木という方法で、全国各地津々浦々にまで普及して行ったのである。したがってソメイヨシノは、すべて同じ遺伝子を持ったサクラなのである。気候や土壌の環境が揃えば不思議なことに、同時期に一斉に開花するのはそのためである。一節によるとソメイヨシノの寿命は短く、最大60年と一般的に言われている。したがって人間の平均寿命より短いことになる。

 サクラを愛する日本人は多い。私もその一人であるが、多忙な毎日を送っているためか、開花期間が短いのが何とも残念でならない。しかしアッという間に散っていく潔さも魅力の一つであるようだ。桜花爛漫とはよく言ったものである。薄いピンクの清楚な色は花びらが重なるほど、優しい太陽の光りに照らされて美しさを増すように見えてくる。

 今年は素晴らしいサクラにたくさん巡り会えた。本当に美しいサクラであった。幸せであった。また来年も更に美しいサクラを、元気で健康な身体で見られるように願っている。

撮影2007年春