ゴッホと出会った。孤高の画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890)である。とは言ってもご本人と直接出会ったのだ、ゴッホの作品と出会ったのである。しかし彼の作品の前に立つこと、ゴッホの人間性と息使いが聞こえてくる。それは大阪・中之島にある「国立国際美術館」での、ゴッホ展を鑑賞したときの感想である。 ここは全国でも珍しい全地下型になっている美術館である。地上から見える建物は、竹のしなやかな生命力と、現在美術の発展・成長の広がりをイメージした巨大なオブジェであった。しかしこれだけではとても美術館には見えないのだ。地下に展示場を設けたのには、いくつかのメリットがある。1つには外光が遮断され作品を傷めない。更には観賞する上で余計な光りが当たらない等がある。
ここは当初、大阪・吹田市の万博記念公園の中に設置されていたが、諸般の事情で2004(平成16)年に現在地に移転。地下1階は講堂、レストラン、売店。地下2階は常設展。地下3階は企画展示で、いつも魅力ある企画が展示されている。 今回訪ねたのは「ベルギー王立美術館展」のオープニングに招待をされた。当日は600人を越える来賓であった。ベルギーはベネルクス3国(オランダとルクセンブルク)の仲間で、ドイツとフランスに挟まれた小さな国(面積は日本の12分の1)である。首都ブリュッセルにある王立美術館の所蔵作品より、100点あまりの名品を展示している。最も印象に残った作品の1つに、庶民の喜びを表現した素晴らしい絵に出会った。それは1607年ピーテル・ブリューゲル作「婚礼の踊り」(油絵)であった。400年前のこの絵を見て、何故か心ときめく不思議な気持ちとなった。 私はそれぞれの作品の中にある「作者の心」を知りたいとの思いで、いつも美術鑑賞をさせて頂いている。これからも心の中にいつまでも残る、素晴らしい作品との出会いを求めて、各地の美術館、展覧会を回りたいと願っている。 撮影2007年春
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