◆高島屋百貨店

 新宿は東京都の政治の中心地であるとともに、日本一の歓楽街でもある。私にとっても青春時代の思い出多き場所でもあった。大都市の証の一つに百貨店があるかどうか、過去そんな時代があったことがある。ここには三越、伊勢丹、京王、小田急の各百貨店が、狭い地域の中で集客を競い合った。さらに専門店をはじめ、中小規模の商店に至っては星の数ほどあったのだ。

 そこへ百貨店の老舗「高島屋」が、JR新宿駅南近くに1996(平成8)年オープンした。途轍もない大きな規模の建物に、百貨店特有の華やかさも加わって、マスコミも競って紹介をした。

 高島屋の本社は大阪にある。メインストリートの御堂筋を南へ突き当たると、そこには格式のある立派な建物があった。ナンバ「高島屋」である。全国に20店舗、ニューヨークを始めとして海外に3店舗持っている。創業は1831(天保)年というから、176年の歴史を誇っている。贈り物を受け取った時、まず包装紙を見てその品物の価値を感じることが出来る。つまり高島屋の包装紙だけで、信頼と安心に繋がるのだ。ブランドのイメージは大事なことである。

 しかし時代は絶えず変化し続けている。消費者のニーズも同じだ。百貨店だから、老舗だからといって安心は出来ない。近年百貨店クラスの大型専門店が続々と出店している。家電、家具、洋服、カメラ等がそれだ。さらに大型スーパーも百貨店と変わらなくなっている。百貨店が独占していた良き時代は終焉を迎えているのか。今一度独自性を模索する必要があるのではないか。

撮影2007年春