◆黒潮市場の魚

 黒潮とは太平洋最大の海流である。それは日本列島に沿って流れる暖流で、フィリピン諸島の東、台湾の東を通って、犬吠埼(千葉県東端)沖に流れてきて、太平洋の中央部に向かって行く。この流れは最大時で時速約7.4km。プランクトンの生息数が少ないため透明度は高い。そのため海の色は青黒色であることから、黒潮の名前の由来となっている。

 娘の高等学校のPTA会長を2年間務めたことがある。同年輩のご婦人の役員さんに、如何に喜んで活動して頂けるかが、私の大きな役目の一つであった。ご婦人方は普段献身的に頑張ってくれている。一年に一度の日帰り旅行は、彼女たちにとって大きな楽しみであり、人間交流の社交場でもあった。

 この日はホスト役に徹して、ご婦人方に尽くさせて頂いた。行程は関西国際空港、和歌山城、和歌山市内の人工島「マリーナシティー」にある黒潮市場であった。テーマパーク「ポルトヨーロッパ」のすぐ隣に黒潮市場はあった。そこではマグロの解体ショーをはじめ、新鮮な海産物が豊富に並んでいた。それらの中から好きなものを選んで、海を見ながらバーベキューのようにして食べる。アツアツの魚は実に美味しいものであった。お土産もご婦人方の楽しみの一つであるようだ。

 和歌山県は太平洋沿いの海岸線に発展した、細長く延びた海と山の県である。太平洋の恵みを、そして黒潮の恩恵をいっぱいに受けた人達。和歌山の歴史は黒潮と共に、社会があり生活があるように思えてならなかった。

撮影2007年春