◆生野銀山湖

 史跡・生野銀山を見学して、更に山奥へドライブして行くと黒川ダムに突き当たる。夏休みの期間ともなると途中には、川遊びをする子供たちで賑わい、キャンプ用テントが所狭しと張られている。目的地の黒川ダムの下には、素麺流しに、川魚の女王といわれる「いわな」の刺身、塩焼きを出してくれるお店がある。私にとっては穴場の場所であり、友人、家族を誘ってよく行ったものだ。

 その途中に生野銀山湖と生野ダムはあった。ここは1973(昭和48)年に、下流にある市川流域を洪水から守るため、更には近郊の生活用水の確保のため、建設されたダムであり人造湖なのだ。ここに貯えられた湖は周囲12km、貯水量1800万トンになる。年月が経過することで、湖の周りも大自然の中に見事に調和して見えた。時間とは不思議なものである。ここは「ひょうご風景百選」に選ばれるほどの美しい景観なのである。

 この美しい風景に誘われて、貸しボートに乗ったことがある。周りを見るとボートからも岸辺からも、釣りを楽しむ人達の多いのに驚かされた。ここは関西の釣り場のメッカであるとか。コイ、ヘラブナ、ブラックバスなどが釣れる。

 今回訪ねたのは冬であった。周りには人影は全くなかった。湖を暫し見つめていると、まるで鏡のように山がそのまま映っていた。そこへ北風が小波を起こすと山は消えてしまった。それは一瞬の出来事であった。ある人が言っていた「今年は冬がなかった」と。この辺りも今年は雪がなかった。湖から吹く風も私には、冬の厳しさが感じられなかった。

撮影2007年冬