◆有馬温泉の紅葉

 桜花爛漫の見事な桜。春になれば桜の開花宣言がニュースとなる。そして桜前線が南は沖縄、九州から日本列島を北上し北海道へと達していく。同じように秋になれば日本全土を紅葉が覆う。今度は北の北海道から南下していく。四季を持つ国は実に美しい。

  この時期になると美しい紅葉が全国各地で、見ることが出来るであろう。私の地元神戸も同じだ。日本最古の温泉を誇る有馬温泉の一角に「瑞宝寺公園」がある。ここの紅葉も見事である。歴史を辿れば太閤秀吉の時代となる。「いくら見ていても飽きない」と秀吉をも唸らせた。そして時の経つのも忘れると言うことから「日暮らしの庭」とも呼ばれている。

 秀吉の死後に至って、ここに瑞宝寺が建立された境内に、楓桜の植樹等がおこなわれたた。1873(明治6)年に廃寺となったが、神戸市が1950(昭和25)年に公園として整備。毎年11月2日・3日の両日には、豊臣秀吉が千利休らと大茶会を催した故事にならい、有馬大茶会の野点が開かれている。またここには秀吉が愛用したとされる、石の碁盤が残されているのも興味深い。

 園内には紅葉の美しいこの時期になると、風流な茶店が営業されていた。持参したお弁当を広げて野外で食べるには、この日の気温は少々寒かった。しかしこの店で名物の熱々の「おでん」を購入。冷えた身体が温まり、素敵な昼食を楽しむことが出来た。私はいつの時も「花より団子」かも知れない。 紅葉は燃えるような赤い色に変わり、秋の終わりを告げるかのようであった。しかし今のときを精一杯生きようと、最後に残ったエネルギーを使い果たしているように思えた。

撮影2006年秋