◆鴨川の流れ

 日本の都として一つの場所に、1000年もの長きに渡り続いた京都。何故それほどまでに続いたのか?その理由の一つに、京都に流れている清らかな川と、豊富な水にあるように思えてならない。世界中を見渡しても、水のない所に大都市が形成されたことはない。そこには豊かな川が流れ、無限に広がる大海があったのだ。

 内陸部に位置する京都も桂川があり、鴨川そして宇治川等の大河が流れている。特に鴨川は市内の中心部を流れているにもかかわらず、清らかな流れを保ち続けている。ここには大きな橋が架かっているが、三条橋、四条橋、そして五条橋と聞くと「牛若丸」の歌を思い出す。

文部省唱歌に

「♪〜京の五条の橋の上
 大の男の弁慶は 長い長刀ふりあげて
 牛若めがけて切りかかる〜♪」。

五条橋の上で武蔵坊弁慶と牛若丸(源義経)が戦って、弁慶が敗れて家来になる物語である。源流は京都市北区雲ケ畑の桟敷ケ岳(896m)にある。

  京都には昔から水文化が根づいている。鴨川の友禅流しをはじめ、茶の湯、京野菜、紙漉、庭園など。また水を元に食文化でも美しい京料理、伝統の京漬物、京和菓子、伏見の清酒、豆腐、湯葉等がある。

 水の恵みをいっぱいに受けた京都は、本当は「水の都」なのかも知れない。京都盆地は特有の夏蒸し暑く、冬は底冷えで厳しい自然環境にあるように思われる。しかし春は一面に桜が咲き乱れ、秋は美しい紅葉が楽しめる。日本の宝「京都」は何故か心が落ち着き、癒しを与える不思議な魅力を持っている。

撮影2006年春