1964(昭和39)年に完成した東京オリンピックの選手村は、広大な土地に宿泊設備、研修施設が整った素晴らしい生活空間であった。そこを「国立オリンピック記念青少年総合センター」として、そのまま再利用されていた。私が大学4年生の1969(昭和44)年、夏休みの時であった。外国からのツーリスト約2000人の案内役の一人として、この場所で半月間寝食を共にさせて頂いた思い出がある。 近くには丹下健三が設計した代々木競技場がある。船を逆さにしたような建物のなかに、プールがある主体育館と、巻貝を連想させる屋根の小体育館などがある。そして広大な面積を持つ代々木公園、明治神宮。更にはNHK放送センターもあり、ここは東京の名所なのだ。 その最寄の駅がJR山手線「原宿駅」であった。駅舎は英国調のアンティークな美しい木造2階建。このユニークな建物は1924(大正13)年に竣工。82年間の長い歴史を持つ、東京で一番古い木造洋風駅舎である。実はこの建物は二代目なのである。初代の駅は1906(明治39)年に、現在よりもやや代々木駅よりにあったのだ。 その後、第二次世界大戦での1945(昭和20)年4月14日の東京大空襲で、周辺一帯は焼け野原と化したが、原宿駅は奇跡的に助かっている。またここまで長く駅舎が使用されている理由に、他路線との連絡、乗換え駅でなく、単一の駅であったことが幸いしているように思える。 |