◆金沢城と利家

 NHK大河ドラマは常に多くのファンを魅了し続けている。そのなかで2002年に放映された「利家とまつ〜加賀百万石物語」は、戦国時代の北陸が舞台。前田利家とその妻・まつの夫婦愛を、見事に描いた波乱万丈の時代劇ドラマである。

 現在にあっても金沢市民に「前田さま」と親しまれている人物がいる。それは前田利家のことで、彼は尾張の国・荒子城の城主の四男として生まれ、その後は妻と共に北陸の任地に移り、逞しく戦国時代を生き抜いていく。それは織田信長、豊臣秀吉、徳川家康へと移っていく、激動の政権交代の時代のことであった。そのなかで前田家を守り抜いた利家とまつ夫婦。二人の絶妙なる行動が人の心を打った。

 その前田利家が加賀・能登を支配して、金沢に入城したのが1583(天正11)年であった。その後、金沢城は利家、利長、利常の3代に渡って近世城郭へと大改修を行う。同時に城下町として金沢も整備されていった。加賀百万石の居城は紆余曲折を経ながらも、明治時代に入るまで続いたのだ。

 2001(平成13)年には、金沢城址は金沢公園として再整備されている。二の丸菱櫓、橋爪門、橋爪門続櫓、そして五十間長屋が新しく復元された。ここには美しい城郭と利家・まつの、400年を越える歴史が息づいているように思えた。時折美しい鳥の囀りも聞こえてくる。爽やかな風も感じさせてくれる。日本の歴史文化の一つが、こうした全国各地に現存するお城かも知れない。日本の文化遺産としてこれからも大切にしたいものだ。

撮影2005年春