◆瀬田の唐橋

 日本一の広さを誇る琵琶湖。そこには119本の一級河川が流れ込んでいる。しかしその中で琵琶湖から流れ出ていく川は一本しかない。それが滋賀県大津市にある瀬田川なのだ。その行き着く先は淀川に通じて、大阪湾へと注がれている。

 瀬田川はいつも満々と水を湛えて流れていた。一瞬ではあるが新幹線の中からも、その美しい流れを見ることが出来る。そして瀬田川に架かる歴史を感じる大きな橋も見ることが出来る。この橋は京都・嵐山の桂川に架かる「渡月橋」に似ているように思えた。

 古来よりこの橋は京都から東に、尾張、鎌倉、江戸等に行くには、必ず渡らねばならない川であった。そのために瀬田川に架かる橋は、政治的にも、経済面にとっても、交通の重要な役目を担っていた。しかし重要な橋だけにこれまで幾度となく、過去の歴史のなかで戦略的な犠牲となっている。古くは壬申の乱、源平の戦い、応仁の乱、明智光秀の乱等々。その都度、焼き払われてはまた架けられる。悲しい繰り返しであった。

 現在 平和な日本にあっても、交通の要所は何ら変ることはない。新幹線に橋が架かり、JR在来線、名神高速道路の橋も架けられている。その中にあって「瀬田の唐橋」は、今でも人が利用する橋であると共に、多くの車が通る交通の要所として元気に頑張っている。その様相は木造風で歴史情緒を感じさせてくれる。そしてこの辺りはスポーツではボート、カヌー、ラフティングはじめ、釣り、瀬田のシジミも採れ、船祭りも開催される観光地として、多くの人に愛される場所になっているのだ。

撮影2006年秋