◆世界一美味いビール

 それは40年近く前の学生時代のことであった。「サントリー純生」という銘柄のビールをトラックで運ぶアルバイトをしたことがある。東京・府中市にある武蔵野工場から、東京駅近くの日本橋の酒問屋まで、毎日のように甲州街道を走った。当時はキリンビールが圧倒的に人気のあったときで、サントリービールは二流、三流の評価でしかなかった。 ある蒸し暑い夏の昼食後のこと、積み荷のビールを一本抜き取って、味見をすることにした。事故に見せかけるため、栓を開けずに瓶の首辺りを割ってみると、一気に大量の泡が吹き出した。泡の静まりとガラスの破片が下に落ちるのを確認。残念なことにビールは少しか残っていなかった。しかも冷えていないビールはとても飲め物ではない。悪いことをするものではない。以来、冷えていないビールと、美味しくないサントリービールを飲むことはなくなった。

 時は流れ時代は変化している。サントリープレミアムモルツがビールの部門で、モンドセレクション最高金賞を2005年、2006年の2年連続受賞するという快挙を成し遂げた。つまり世界一美味いビールの称号が与えられたのだ。 サントリー京都ビール工場を見学した。これで3度目の訪問となった。今回の目的は勿論プレミアムモルツを、最高に美味しい状態の生ビールを、工場内で飲むことにあった。ビールは厳密にいうと、工場からトラックで運ばれた時点で、味の劣化が始まるとか。そう聞かされても私には全く分からない。

 このビール工場は西日本を一手に担っている。ビールの92%は水である。ここは京都西山水系の天然水から生まれたビールで、旨さがひと味違うのだ。私は毎日欠かさず缶ビールを2本飲んでいる。勿論銘柄は世界一美味いビール「サントリープレミアムモルツ」である。

撮影2006年秋