◆横浜・ジャックの塔

 エキゾチックな横浜の町を歩いていると、ネオ・ルネッサンス様式の赤レンガ造りの立派な建物に出会った。神奈川県庁前の交差点に面した一等地に、「横浜市開港記念館」はあった。

 この建物は1917(大正6)年に横浜開港50周年を記念して、設計案はコンペ方式で募り、更には市民の寄付金によって完成されている。その後、関東大震災の時には建物内部を焼失したにもかかわらず、多くの人達の愛着もあって復旧を成し遂げている。戦後十年余に渡って米軍に接収されたが、1958(昭和33)年に再び市民の手に戻り、国の重要文化財に指定されている。

 館内は講堂のほか大小9の会議室があり、開港当時を描いたステンドグラスや、和田英作画伯の色彩鳥瞰図なども展示されている。また建物の周りには「岡倉天心生誕地碑」が建てられている。元々この地は開港してより明治元年まで、岡倉天心(美術家)の父・勘右衛門が支配人をしていた石川屋があった所で、天心生誕の地である。更にこの地は横浜商工会議所発祥の地でもあり、同じような碑を見ることが出来る。

 この建物には高さ36mの時計塔があり、通称「ジャックの塔」として市民からも親しまれている。この他に横浜税関本庁舎には「クィーンの塔」。神奈川県庁本庁舎は「キングの塔」があり、これらを横浜の3塔として市民の愛称で呼ばれている。こう言ったところが粋な町・横浜と言われる由縁なのであろうと感じた。

撮影2006年秋