◆水の大切さ

 私は阪神淡路大震災を神戸・長田区で経験している。それは悪夢のような出来事であった。二度と住めない家をあとに、これから如何がすればいいのか。何処で住めばいいのか。不安一杯の中からの再起であった。幸いにも妻の実家が無事であった。家族6人が一人住まいの母の家でお世話になった。余震が激しく続くなか、本当にありがたく思った。 しかし電気は通っていたものの、水道からは一滴の水も出てこなかった。水のない生活は想像以上に不便であった。ペットボトルの水をそれはそれは大切に使った。コップ一杯の水で朝は歯を磨き、顔を洗い、髪を梳かした。ポリタンクで水を運んだ時の苦労と辛さは今も忘れられない。

 あれから11年の歳月が流れた。「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」とはよく言ったもので、今では歯を磨いている最中でも、無意識で水はジャージャー音を立てて流れている。使い放題。流し放題である。改めて反省だ。

 美しい琵琶湖畔に「滋賀県立水環境科学館(みずかん)」があった。1993(平成5)年に下水道や水環境について、楽しく学べる施設としてオープンした。一階中央の部屋には信楽焼の陶板で作られた噴水「花の塔」が見事であった。

 今再び水の大切さ、ありがたさを反省させられた思いである。そして今出来るなかでの節水を改めて実行に移さねばと心に誓った。水に感謝だ。ありがとう!

撮影2006年秋