◆日本初の飛行場

 「大人になったら何になりたい?」と、子供のときによく聞かれたものだ。私は迷わず「パイロットです」と答えた。広い世界を飛んでみたい。見たことのない外国へ行ってみたい。それ以上に制服がカッコいいのが、一番の魅力であったのかも知れない。しかし年齢と共にその夢は、儚く消えてしまった。まず英語が苦手であった。体力的に逆上がりが出来なかった。ジェットコースターに乗ると、目が回って気分が悪くなった。中学半ばですっかり諦めてしまった。

 埼玉県所沢市にある「所沢航空記念公園」を訪ねた。西武新宿線の航空公園駅を降りてビックリ。目の前には全日空YS−11(日本で唯一の国産旅客機)の、本物の飛行機が置かれてあったのだ。更に広大な敷地を進んで行くと、飛行機をテーマとした立派な博物館があり、公園のシンボル的な施設になっていた。

 米国ライト兄弟の「フライヤー1号」による世界初の動力飛行の成功は、欧米における航空技術を急速に発展させていった。日本もこの刺激を受けて埼玉県所沢に、幅50m、長さ400mの滑走路と格納庫等を備えた飛行場が、1911(明治44)年に開設されている。

 わが国初の飛行は、徳川好敏陸軍大尉の操縦によるアンリ・ファルマン機が、高度10m、飛行距離800m、飛行時間1分20秒を記録。このことがあって「日本の航空発祥の地」となったのである。今ではジャンボジェット機が主流になり、500人の乗客を一度に運ぶことが出来る。そして速さもマッハの時代を迎えている。より安全で便利な乗り物を、更に追求されていくことを期待する。

撮影2005年冬