◆ロダンの彫刻

 ロダンの「考える人」はあまりにも有名な作品である。ユニークで面白いポーズがとても魅力的で、子供の時より知っていた。この人は何を考えているのであろうか。深刻な問題?それとも恋に破れた反省?いろいろと想像を巡らす。このように真面目に考えている姿には、たとえどんな大きな問題であっても、必ず解決できるものと思えてならない。ハッピーエンドの結末を期待している。

 作者のオーギュスト・ロダン(1840〜1917)は、フランス・パリ警視庁に勤務する下級史員の子として生まれる。14歳で産業技術のデザインを教える学校に入学。その後、国立美術学校に2回受験するも、いずれも不合格となる。22歳の時に最愛の姉の死に直面するなか、絶望感から修道士を志す。そこで出会った神父により、彫刻家として生きる道を見出す。ベルギー、イタリアを旅する中で、ミケランジェロの彫刻に強く触発される。その後は力強い表現力と、大胆な造形性を発揮する。近代彫刻の祖として仰がれている。

 

 ロダンの作品にはこれまで何度か接するチャンスに恵まれた。京都国立博物館の庭園にある「考える人」。岡山県倉敷市の大原美術館入口にある「説教をする聖ヨハネ」、「カレーの市民」。更には静岡県立美術館ではロダン館があり、32点の迫力ある作品が展示されていたのには驚きであった。 そして東京・上野公園内にある「国立西洋美術館」の前庭で、ロダンの数点の作品に接し心から感動を新たにした。特に「地獄の門」はブロンズ彫刻作品で、高さ5.4m、幅3.9m、重さ7tの板状の大変な迫力であった。ここにいると不思議にも、ロダンに会っているような感覚になれる。

撮影2006年夏