もともと日本建築の歴史には、赤レンガの建物はなかった。明治時代に入って西洋建築のブームが起り、近代化への波は急速に進んでいった。特にヨーロッパ建築は人気があり、競って建てられるようになった。中でも赤レンガ造りの重厚で豪華な建物は、全国各地で建てられるようになった。その一つが皇居・桜田門のすぐ西側に、一際は美しい赤レンガの建物があった。そこには「法務省」の看板が上がっていた。 このような建物はこれまでも見たことがある。東京駅、京都国立博物館、北海道庁旧本庁舎をはじめ、全国各地で銀行、工場、倉庫等を見ることが出来る。法務省のこの建物は1895(明治28)年に、ドイツからエンデとベックマンの二人の建築家を招聘して完成させたもの。しかしいくら見ていても飽きないほど美しい。建築デザインもさることながら、赤いレンガの色合いが何とも美しいのだ。
|