お酒を初めて口にしたのは20歳の時であった。大学のクラスメイトの家でビールを少々頂いた。胸がどきどきしていた。その時「俺も大人になったのかな…」と。その後、貧乏学生であった私には、ビールを飲むお金は全くなかった。それよりも食事をすることの方が優先した。
大学のクラスコンペが東京・大塚駅近くの居酒屋「養老乃瀧」で開かれた。そのお店のユニークなネーミングが忘れられなかった。その後、各地の「養老乃瀧」に入ったが、手頃な値段が私にとって一番の魅力であった。
岐阜県の養老山地内にある「養老の滝」を訪ねたのは今回で2回目である。ここは日本の滝百選に選定された名爆で、高さ30m、幅4m。近寄ってみると爽やかなマイナスイオンを感じさせてくれる。また、この辺りの養老山地から湧き出るミネラル豊富な水は、日本の名水百選にも指定されている。
ここは滝から流れる水が、酒に変わったという有名な昔話がある。貧しい家に年老いた父と、孝行者の息子が暮らしていた。ある日、息子が山奥に薪を取りに入っていたとき、苔むした岩間から酒の良い香りがしてくる。それをひょうたんに入れて持ち帰って、老父に飲ませるとこれが極上の酒。この時より見る見ると老父は若返り、その喜びの笑い声が村中に広がっていった。
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