奈良市内の西に位置する学園前駅付近は、閑静な住宅地として人気は高い。関西では芦屋に次ぐ高級住宅地であるようだ。随分昔のことであるが、この地域に私の友人が住んでいた。新築の家が完成したので遊びに来てほしいと招待を受けた。そこは大きな二階建ての日本建築で、費用は5億円と聞いて内心驚いた。庭園が見えるガラス張りの岩風呂は、広々としてゆったりとくつろげた。夕食中に二人の娘さんがバイオリンを演奏してくれた。歓迎の気持ちが痛く感じ取れた。あれから20数年が経過した。
大和文華館はそんな静かな住宅地の中にあった。ここは東洋古美術を中心とした私立の美術館である。大きな池に面した丘の上には鬱蒼と茂った雑木林が続き、その中に蔵を思わせるような立派な展示場はあった。
ここは近鉄(近畿日本鉄道)の社長であった種田虎雄が、この場所に美術館の建設を提案。1960(昭和35)年、近鉄創立50周年行事の一環として開館している。国宝4件、重要文化財31件を含む約2000件の作品を系統的に収集している。
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