◆安芸の宮島

 フェリーに乗って10分ほどで対岸に到着した。船の中では日本人は勿論、たくさんの外国人観光客が乗っているのに驚いた。乗客が目指すものとは、世界遺産に登録されている安芸の「宮島」である。穏やかな瀬戸内海に浮かぶ無数の島々。その一つが日本を代表する観光地の名所となっていた。

 日本で最も美しい景色を選んだのが「日本三景」である。それはここ広島県廿日市市の「宮島」に加え、宮城県松島町の「松島」、京都府宮津市の「天橋立」。これら全てを私も訪ねたが、いずれも自然の美しさと地形が見事であった。

 かなり遠方からでも確認できる朱塗りの「大鳥居」は、宮島を代表するシンボルでもある。現在のものは平安時代から数えて8代目の1875(明治8)年に完成。この鳥居は海面より地中深く掘って立てられていると思いきやそうではなく、本体の重みだけで立っていると知らされた。満潮時には海中に浮かび、干潮時には砂浜に立ち、その姿は勇壮で実に美しい。

 下船してまず驚いたのは、人馴れした鹿であった。これらは奈良公園にいる鹿と同じで野生である。しかし古い歴史を経て、人間と見事に共生しているのだ。更に進んで行くと、美しい朱塗りの厳島神社の神殿群は、海上に建てられている珍しいものであった。そして周辺には国宝、重要文化財に指定されている建物が並んでいた。背後に聳える弥山原始林を含む地域を、人類共有の財産として「世界遺産」に1996(平成8)年に登録された。この美しさよ、永遠たれ!と祈りつつ。

撮影2006年春