人間とは弱い者である。特に戦争という異常事態のなかでは、正常な判断が出来ず、一種のパニック状態になってしまう。私の父親は太平洋戦争に出兵している。南方のセレベス島に向かう途中、何回か船内で様々な訓練が行われた。ある日の夜中、寝静まった船内に緊急警報が鳴らされた。これも抜打ち訓練の一貫であったが、戦争という異常事態は兵士に恐怖の極限を与えてしまう。その結果、幾人もの兵士が太平洋の海の中に、それも真っ暗な海へ次々に飛び込んでしまった。運命とは皮肉なものだと残念そうに語る父。これも当時としては名誉の戦死なのであろう。
広島県呉市に「大和ミュージアム(呉市開示歴史科学館)」はあった。1941(昭和16)年12月、世界最大の戦艦「大和」は、ここ呉海軍直轄の工場で造られた。最近希に見る映画のヒット作品の一つに、「男たちの大和」とか「海猿」がある。そうしたお陰もあって大和ミュージアムは、この種の展示としては大反響を呼んでいる。なかでも10分の1戦艦「大和」は、迫力感に加え精巧な技術が見る人を圧倒する。
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