「道がつづら折になって、いよいよ天城峠に近づいた・・・・」とは、「伊豆の踊り子」の冒頭の書き出しである。勿論、小説家・川端康成の作品である。 私は20代半ばの頃、伊豆半島の山中にある「天城荘」という純和風旅館に、夏季研修に3年連続で訪ねたことがある。高さ30mの大滝を目の前にして入る河原の湯はまさに絶景。更に奥行き30mある秘湯穴風呂は、少々冒険気分にさせてくれサウナ効果も期待できる。28種類もあるお風呂の湯に浸かりあって、男同士のロマンを語り合ったことを思い出す。場所柄「伊豆の踊り子」の作者である川端康成を、身近に感じた最初の時であった。 本州を結ぶ瀬戸大橋の四国側の橋の袂に、「東山魁夷せとうち美術館」はあった。そこで「川端康成展 文豪が愛した美の世界」が開催されていた。東山と川端との交流は親密なものであったことは有名である。入館してまず驚いたのは本物のノーベル賞メダルが展示されていた。川端は1968(昭和43)年ノーベル文学賞を受賞している。これが世界最高峰の金メダルなのだ。
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