眠らない町「新宿」は24時間人通りが絶えない。たとえ朝の3時〜4時頃であっても、他の町では人通りのピーク時を、思わすような賑わいであるから凄まじい。ネオンは朝まで消えることなく、こうこうと輝いている。真冬の寒い日であってもネオンを見るだけで、暖かくなるような気がしてくるから不思議だ。 学生時代は御茶ノ水に学校があり、住まいは中野であった。JR中央線で一本道。その間に新宿があったため、よく途中下車して街を歩いたものだ。友人と人生を語り明かしたこともあった。ある時「砂の器」(松本清張原作)の映画を見た後輩が、喫茶店で物語のストーリーを聞かせてくれた。彼は情熱を込めてサスペンスを興味深く語ってくれた。一つ一つの場面がまるで目に浮かんでくるようで、すっかり聞き入ってしまった。いつの時もそうだが、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。気が付くと朝の3時をまわっていた。店の外に出るとまだたくさんの人が、ゾロゾロと歩いていたから驚きだ。 新宿の歴史を紐解くと面白い。今から約300年前の1698(元禄11)年のこと。この辺りに土地を持っていた内藤家の一部分を提供させ、新しく宿場を造ることになった。そこは「内藤新宿」と呼ばれるようになった。今の新宿御苑も元々内藤家の土地で、地名で内藤町もあるがここから来ている。その頃からこの辺りは繁華街の兆しが生まれたようである。
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