ここに来るといつも夢は世界へと広がっていく。私はここが好きだ。大好きだ。場内アナウンスを英語で聞くと、更に気持ちは高潮する。「出発便のご案内を致します。――」、 ニューヨーク、ロンドン、パリ、シドニー、香港‐‐‐などの地名を聞くと、どんな町?どんな人が住んでいるのだろう?気候は?様々な想像が巡ってくる。ここにいるとまるで居ながらにして、世界旅行をしているような錯覚を覚える。本当に楽しい場所なのだ。こことは日本の空の玄関・羽田空港(元東京国際空港)ロビーでのことである。 仕事の関係でここには、出迎え見送り等で頻繁に来ていた。海外に一度も行ったことのない私にとっては、憧れの場所であった。職場の先輩がここに100回来れば、必ず海外に行けるからと激励してくれた。その言葉通りその後何回か、海外に行くチャンスに恵まれた。これらは1978(昭和53)年、新東京国際空港(成田空港)が開港する以前の話である。 羽田空港は1931(昭和6)年「東京飛行場」として日本で初めて開港している。終戦後は米軍に接収されるが、1952(昭和27)年解除。東京国際空港として日本の管理となり、大発展することになる。
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