流れる溝から湯気が立ち上っていた。近くの温泉旅館から流れ出ているのであろう。大気の温度が下がるとこのような現象を見ることが出来る。ここは福井県の最北端に位置する一面田んぼに囲まれている。そのど真ん中に芦原温泉はあった。そこには高級温泉旅館がたくさん建ち並んでいた。
私は「セントピアあわら」という大衆温泉に入った。500円の入浴料のところ、割引券を使って350円で入れた。オープンして5年。まだ新しく清潔でサウナも完備されていた。お湯は少々熱めであったが、半身浴をしたりしてしっかり温もった。身体はツルツル。風呂上りのしばらく時間が経っても、身体はいつまでもポカポカと温かかった。私は久々の温泉に満足感とともに、心身ともにリフレッシュさせて頂いた。日本人の温泉を愛する気持ちがよく理解できる。 この辺りはその昔、葦の生い茂る沼地であった。1864(明治16)年に1人の農夫が灌漑用の井戸を掘っていたところ、薄い塩分を含む温泉が噴出したのが始めであった。今で言えば石油を掘り当てたような価値あるものかも知れない。その後、数軒の温泉宿が開業して湯冶客を泊めるようになる。それが芦原温泉のスタートであった。
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