◆ 養浩館の庭

 ガーデニングが静かなブームとなっている。花を愛することは、平和を愛することに繋がるように思える。都会では庭のある家は少ない。団地のベランダ、出窓の限られたスペース、玄関の周りのプランナー等、町なかを歩いていても、美しい花との出会いは私の楽しみの一つだ。花の種類によって、その家の人柄、性格をつい想像してしまう。共通する点は心優しい、思いやりのある人を感じている。 ヨーロッパのガーデニングを、紹介しているテレビの番組を見たことがある。ドイツ、フランス、スイスの個人のお庭訪問であった。そこは芝生をベースに、色とりどりの華麗な花があり、緑の低木をカッティングして壁を造っていた。住人の個性が見事に強調されているように思えた。

  福井市内の中心に、日本庭園の名勝「養浩館」はあった。ここは江戸中期に造園されたもの。欧米に比べて日本庭園の特長は、まず中心に美しい池を配し、緑と屋敷の調和にあるように思える。ここは福井藩主松平家の別邸で、福井城本丸から北へ400mにあり外堀に位置する。江戸時代には「御泉水屋敷」と称されていたが、明治時代になってから「養浩館」と呼ばれるようになった。実に見事な設計と調和の取れた、まるで箱庭のような美しい庭園であった。

 私は世界のどの庭園と比較しても、日本庭園が一番優れていると思っている。しかし江戸時代までに造られたものは、鎖国という閉ざされた時代と、島国という地理的条件に恵まれない状況下であった。したがって欧米に見られる華やかな植物は、それまでの日本には見られなかった。日本固有、或いは中国、朝鮮より入ったものに限られた。時代は変わり今の日本は、世界中の花を手に入れることが出来る。

 日本庭園は四季折々の美しい花に彩られ、一層美しさを増して我々を迎えてくれる。これらの庭を愛し美しさを保ってくれる人達に、感謝の気持ちを決して忘れない。

撮影2005年 秋