穏やかな春の光をいっぱい浴びて、美しい海岸線は続いていた。風に乗って白い波は海の上を走っていた。小さい波は次から次へと、生まれては消えていく。同じ繰り返しであっても、決して止まることはない。何時まで見ていても飽きることのない、不思議な魅力を持っていた。私は日本海に面した石川県・千里浜海岸の波打ち際を、車で走っていた時のことである。 それは実に快適なドライブが続いていた。ここは日本のなかでも世界的にも珍しい、浜辺を走れる天然砂浜ドライブウェーである。その距離約8km。途中で車を止めて降りてみて驚いた。普通は砂浜では足が埋もれて歩き辛いが、ここはまるで砂を固めたコンクリートのような硬さであった。砂粒が細かいのだ。海岸で見る砂の大きさは1ミリから0.5ミリが普通だが、千里浜の砂は更に4分の1ミリほどの細かさだ。そこに海水が沁み込むと、一層硬く締まってしまう。ここの海は遠浅で潮干狩り、海水浴に適しており、多くの人達の人気スポットになっている。 |