◆ 服部緑地の空間

 大都会の住宅地のなかに「服部緑地」はあった。そこは賑やかな遊園地と違って、実に静かな空間であった。ここは大阪府が1928(昭和3)年に、豊中市の竹林、溜池などがあった土地を造園したもの。その後1983(昭和58)年には、第一回全国都市緑化フェアが開催され、皇太子(現在の天皇)が行啓。

 主な施設には日本民家集落博物館、陸上競技場、乗馬センター、テニスコート、野球場、野外音楽堂、ユースホステル、都市緑化植物園、ウォーターランド等、自然をいっぱい取り入れた空間である。周りには溜池も数箇所あり、のんびりと釣りを楽しむ人達を見た。犬を連れての散歩。そして池の畔では母子のグループが、芝生の上でお弁当を広げて楽しんでいた。日常の何気ないひと時に「平和」は感じられるものだと思った。

 ここ大阪には服部緑地をはじめ、大阪城公園、鶴見緑地、万博公園等、大きな公園がある。貴重な空間である。しかしこれらのスペースは大都会・大阪全体から見れば、ほんの微々たるものでしかないのだ。圧倒的に住宅、ビル、工場、道路が最優先されている。

 日本列島の狭いスペースに、人口は1億2776万人(平成7年10月1日現在)が住んでいる。中国の13億、インドの11億、アメリカの3億、インドネシア、ブラジル、パキスタン、ロシア、バングラデシュ、ナイジェリアに次いで、日本は10番目に人口の多い国になっている。人口密度では1平方キロに対して、大阪は何と4652人が住んでいることになる。

 ストレスという言葉がよく聞かれる今日。自然がいっぱいある公園の増設が急務である。人間の心と安らぎを与える素晴らしい公園「服部緑地」に感謝したい。

撮影2005年 秋