◆ 鳥取の中国庭園

 日本に「ハワイ」という地名があったとは驚きだ。鳥取県の中央に位置する所に東郷湖がある。周囲12km、水深2〜7m、日本海に通じる風光明媚な汽水湖である。ここは夏になると海水が逆流して湖に入り込む。そのためワカサギ、コイ、フナ、ウナギ等、豊富な海産物に恵まれている。釣りをするには好適地である。この湖畔に東郷温泉と、羽合(ハワイ)温泉があるのだ。

 中国庭園・燕趙園(えんちょうえん)は、この東郷湖畔にあって一際は目を引く、異国情緒溢れる建物であった。中国人技師によって建てられた本格的な中国建築である。赤とグリーンを基調に、中国独特のカラフルで明るい見事な建物。訪れた人達がしきりに、カメラのシャッターを切っていたのが印象的であった。

 何故こんな所に中国があるのか、全く不思議でならなかった。この燕趙園は1995(平成7)年に、鳥取県と中国河北省との友好のシンボルとして完成したもの。神戸のチャイナタウンをよく知る私であるが、こんなにスケールが大きいものと、正直言って驚きであった。横浜のチャイナタウンでも見られない、日本最大級の中国庭園である。園内では京劇や雑技などの伝統芸術も開催されている。そして庭園の隣には私の大好きな四川料理の店もあり、ここは本物の中国であった。

 これまで日本から見て、近くて遠い国であった中国。ベールに包まれた国であった。今では国交回復されて遠くとも近い国となっている。政治レベルだけの外交ではいつ壊れるか分からない。燕趙園のような文化交流、民間交流を通して、より一層理解し合うことこそ、本当の友好の証ではないかと思う。日本の歴史の上からも、大恩ある中国と未来永劫に仲良くしたいものだ。

撮影2005年 秋