◆ 広大なる鳥取砂丘

 「目には目を」という映画を見たことを覚えている。40年以上も前のことだ。砂漠が舞台の恐ろしいストーリーを今でも思い出す。主演は個性派の名優クルト・ユルゲンス(ドイツ人)で、「眼下の敵」ロバート・ミッチャムと共演するなど、彼の映画は何度も見た。

 それはアフリカの広大な砂漠が舞台になっていた。医者である主演は、病気で死んだ妻の夫から恨みを買い復讐を受ける。砂漠の厳しい環境の中に入りこんで行く二人。暑さと水との戦いに死をかけて葛藤する。最後は砂漠の過酷な条件に負けてしまう。見ていて同じ苦しみを味わったようであった。 鳥取砂丘を始めて訪ねたのは高校2年の夏であった。怖いというイメージがありながらも、砂丘を大いに楽しんだ。特に中央にある馬の背と呼ばれる山の高さは48mあり、それを一気に登って行った。しかし足が砂に取られ、思うように前に進まない。それでも鍛えられた身体は頂上まで登り切ってしまった。

 ここは砂漠と同じように、砂の模様である風紋(ふうもん)や砂廉(されん)が見られる。自然が織り成す美しい芸術だ。東西16km、南北2km。雄大なロケーションを誇る鳥取砂丘である。本物の砂漠を見たことのない私達にとっては、驚きと感動の連続であった。しかしアフリカのサハラ砂漠、シルクロードのタクラマカン砂漠からすれば比較にならない。 砂漠は怖いばかりではない。アラビアンナイトのほか、ロマンチックな描写もたくさんあり、私の大好きな童謡に「月の砂漠」がある。

 「♪〜月の砂漠をはるばると 旅の駱駝がゆきました  金と銀との鞍置いて 二つ並んでゆきました  さきの鞍には 王子様 あとの鞍には お姫様 〜♪」。

そして砂漠の中でのオアシスの楽園。私も人生のなかでほんの少しでもいいから、オアシスで一休みしたいものだ。しかし砂漠化が進むこの地球。休んで入られない。大切な地球を守らなければ。

撮影2005年 秋