明治時代の文明開化では、外国からの文化が音を立てて日本に入ってきた。同じように敗戦後の日本もアメリカを始めとして、欧米文化が大量に入ってきた。もともと海に囲まれた島国であるためか、舶来品は入ってきにくいことは事実だ。私の子供の頃は外国の製品は全て優れているとの、錯覚にも似てブランド商品を信奉する風潮が出来上がった。 時計を見て、万年筆を見て、「舶来品」ともなればそれだけで高い評価となるのだ。私も一時はネクタイはイタリア製、ネクタイピンとライターはフランス製、時計はスイス製、万年筆はドイツ製、ボールペンはアメリカ製、スーツは英国製等。身に着けている物だけでも、舶来品は数点持っていたことになる。それだけでその人のステータスが上がったように評価されるから不思議だ。 鳥取市内の中心に小高い山があり、そこに鳥取城跡があった。その脇にフレンチ型ルネッサンス様式を基調とした「仁風閣」が建っていた。それは白亜の木造瓦葺二階建の美しい洋館であった。周りの環境からして、何故この場所にこのような建物があるのだろう。率直な疑問が湧いてくる。 |