◆足立美術館と名園

 近所に住む友人宅を訪問した時のことである。そこの婦人は数日前に足立美術館を見学したとのこと。感動覚めやらぬ様子で熱く思い出を語ってくれた。そしてお土産まで頂いたことを覚えている。私もいつの日か訪ねることが出来ますようにと心の中で呟いた。

 紅葉が最高に美しい秋の日であった。私は念願の足立美術館を訪問した。2200円の入場料は正直言って少々高いと思った。しかし中に入ってすぐにその値打ちが感じられた。1300坪におよぶ広大な日本庭園には舌を巻いた。創設者・足立全康は92歳で亡くなるまで日本庭園をこよなく愛し続け、自分が思い描く庭造りに情熱を傾けた。この足立美術館は、3年連続庭園日本一に輝いている。2005年度では全国693箇所の庭を調査。総合的に検討した結果、細部にわたって維持管理が成されており、造園の大傑作であるとのことであった。誰もがこの美しい庭を見て、充分に満足できること請け合いだ。

 館内では横山大観に最大の興味を持って見学した。たくさんある作品のなかで、最も素晴らしいと思ったのが「紅葉」という大作であった。この季節にピッタリマッチした実に美しいものであった。偉大なる大観の人生にとって、岡倉天心という師匠が如何に大きな影響を与えたか計り知れない。師を持つことの大事さを教わったように思えた。人生の宝は師であることが分かる。 四季折々の美しさを味わえるように、日本庭園は考えられている。私はこの美しき庭と、偉大なる大観に会いにもう一度訪ねてみたいと思った。

撮影2005年 秋