◆北山緑化植物園

 神戸の下町育ちの私にとっては、芦屋市、西宮市の山手地域は一種の憧れを持っていた。建物一つを見ても、とても日本とは思われない高級感溢れる住宅建築である。この地域ゆえであろうか、高級車がやたら目に付く。また歩いている人のセンスの良さも、裕福な生活が現れているように思えるのも、私の気のせいであろうか。周りには関西学院、甲陽学院はじめ、日本を代表する優秀な学校もたくさんある。

  そんな西宮市の山手に「北山緑化植物園」はあった。園内に入って私は感激をした。公園内は無料開放されていると知り、たいした物ではないのではと思っていたのだ。しかし実際は大違い。園内は見事な花園で埋め尽くされていた。四季折々の豊富な草花は勿論、お弁当を持って芝生の上でゆっくり語り合うも散策するもよし。豪華なバラ園、珍しい花もたくさんあり、展示温室には南国ムードいっぱいで260種、1500株を常時栽培展示している。

 

  園内には西宮市の友好都市のひとつ、中国・紹興市の記念となる小蘭亭と曲水。更には本場の墨華亭を模した北山墨華亭。そして優雅な数寄屋造りの純日本建築の建物には、落ち着きと質素ななかにも、心のゆとりが感じられた。その周りには小さいながらも北山杉や、紅葉が見事な日本庭園もある。それが北山山荘である。

  これほど素晴らしく価値ある植物園が、無料公開されている。市民の憩いの場として、誰からも愛される植物園を提供し、運営管理されている西宮市に深く感謝したい。これまで高い税金を払ってきたように思ったが、これで少しは気持ちが楽になったようだ。

 撮影2005年 秋