日本は実に美しい国である。世界中のなかでこれほど美しい国はないように思う。豊かな四季に恵まれ、その変化する姿は自然の衣替えであろうか。美しい山々、そして果てしなく広がる海原。自然ほど美しいものはない。
春夏秋冬と書かれてあるのをよく見かける。季節は春から始まるものとばかり思っていた。しかし一年は冬から始まると聞いたことがある。人間の一生に当てはめてみると、冬は誕生から学生時代。春は青春。夏は成年。秋は熟年。とは私のこじ付けかも知れないが。今の私がどこに当てはまるかは別にして、「生涯青春」の如き、真赤に燃える情熱を持ち続けていきたいと願っている。
最近同年輩の友人に会うと、「元気でやってる?」の挨拶のあとは、必ず身体の健康についての話題となってしまう。歳を取った証拠である。将来の夢が語られなくなった時、人間は人生の最終章にはいったものと思ってよい。
晩秋のこの季節、紅葉の木々で日本全土が真赤に燃えている。朝夕はめっきり寒くなり、朝出勤する時に家を出ると、吐く息が白くなることで季節を感じる。町も遠くに見える山々も、赤や黄色の紅葉に変化してきている。草木の美しさは開花する時であり、満開の花は輝きの最高潮の瞬間だ。しかし一年間の命尽きようとする最後の時、花の美しさに勝るとも劣らない、真赤に燃える輝きの紅葉は素晴らしい。
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