◆敦賀で芭蕉と出会う

 敦賀港のすぐ近くに古代ローマ、ギリシャ風の豪華な雰囲気の建物を見つけた。入口には敦賀市立博物館と看板に書かれてあった。この建物は1926(昭和2)年に完成した旧大和田銀行。大理石を使用して天井も高く、彫刻を施したインテリア。当時としては珍しいエレベーターも設置されていた。昭和初期の日本三大建築物(京都の西陣会館、長崎の香港上海銀行)の一つに数えられる程、高く評価された。その後、三和銀行、更には福井銀行に引き取られ、建物の原形を崩すことなく、敦賀市が譲り受けて現在に至っている。

 中に入ってみると「ほそ道追想〜杖措きの地・敦賀より〜」(2005年10月〜11月6日)をテーマとした展示が開催されていた。これは江戸時代前期の俳諧師・松尾芭蕉(1644〜1694)が、「奥の細道」の最終コースとして、46歳の時に敦賀を訪れている。したがって展示の中にも敦賀で詠まれた数々の歌に加え、貴重な資料、遺品が展示され、芭蕉を身近に感じる興味ある内容であった。

 芭蕉は三重県上野市に生まれ、28歳で江戸に出て以降、高い文学性を持つ俳諧を確立していった。「古池や蛙飛込む水の音」 「荒海や佐渡に横たふ天の河」 「夏草や兵どもが夢のあと」等の作品は余りにも有名である。芭蕉も全国各地を歩きながら、自然の美しさを楽しみ、新しい出会いに心踊らせて、俳句を歌って行ったに違いない。

 結婚してからしばらくした頃、私も俳句に取り組んだことがある。「弘作」という名前を使って各種マスコミに応募もしたが、採用されることなく途中で挫折した思い出がある。残念!

   撮影2005年 秋