生命以上に価値あるものはこの世に存在しない。しかし世界の歴史の中でその尊い生命が軽視され、まるで虫けらのごとく扱われた悲しい出来事が幾度となく繰り返された。それは一部の間違った指導者の判断によるもので、いつの時も犠牲になるのは社会的弱者であった。何の罪もない老人、子供、女性等。それは卑劣極まりない人間の仮面をかぶった悪魔であり、その象徴がドイツのヒトラーである。 数年前に「シンドラーのリスト」という映画を見たことがある。第二次世界大戦中のナチスドイツの、ユダヤ人狩りがテーマとなった悲しく残酷なものであった。工場経営者のシンドラーが労働力確保を理由に、一人でも多くユダヤ人の採用に努力。しかしそれにも限度が。採用リストから漏れた人間はアウシュビッツ送りとなる。それは死を意味することになる。辛く悲しい映画であった。 これと同時期に杉原千畝という日本人外交官がいた。彼はリトアニア領事代理として人道的立場から、6000人ものポーランド系ユダヤ人に日本のビザを発給した。彼のサイン一つで一人の命が救われた。サインを貰えるか貰えないかが生と死の分かれ道となった。そのサインは生きることが保障された「生命のビザ」となったのである。
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