ここを初めて見た時は、まるで地獄に来たのではないかと思ったほどだ。荒涼とした大地、えぐられたような山肌。あちこちから異様な臭いと煙が立ち昇る。水蒸気なのか、炭酸ガス、硫化水素ガスを大量に吐き出している。ここは箱根を代表する名所「大涌谷」だ。今から約3000年前、大規模な水蒸気爆発を起こした時に出来たとされる。 ここの名物に黒玉子がある。温泉で茹でた後、さらに地熱を利用した天然の蒸し釜で蒸したものである。表面は黒いが中身は見た感じ何も変わらない。しかし温泉の成分がしみ込んでいるためか、玉子大好き人間の私にとっては、本当に美味しく味わえた。 台ケ岳の山麓より18万平方メートル一面に、ススキが波打ってまるで海のように見えた。ここは箱根仙石原で大昔には、湖底であったとされている。以来、湖は徐々に枯渇し、一部に湿原として名残を留めている。時おり初秋の爽やかな風が顔を撫でてくれる。心地よかった。大自然を感じた一瞬であった。毎年3月中旬には、この辺り一面に火を入れる野焼き行事がおこなわれる。今では春を告げる風物詩となっている。
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