◆榊原温泉の湯

 大阪にいた友人が三重県久居市榊原に引越しして4年近くになる。一度訪ねてみたいと思っていたが、頼みごともあったりして意を決して車を飛ばした。ここは青山高原の麓に位置しており、あたり一面は緑豊かな大自然と共生する、素晴らしい田舎であった。

 友人宅に着いたとき、嬉しいことに家族全員で出迎えてくれた。大きな庭には食料となる様々な野菜が植えられており、まるで自給自足できる生活を羨ましく思えた。自家製のニガウリの漬物をご馳走になったが、名前の通りニガイ味であった。しかし無農薬の太陽をいっぱい浴びた健康食であるように思えた。彼の顔を見ていると、何故か健康的に見えてくるから不思議だ。

 スケジュールの関係で、3時間ほどの限られたなかでの慌しい訪問であった。彼の家からものの5分もしない所に温泉地があるとのことで、そこで昼食をすることにした。行ってみて驚いた。そこは「湯元榊原館」という7階建ての大規模ホテルであった。ラッキーにも昼食と入浴がセットになっているとのこと。久しぶりの温泉だ。

 ここは冷泉であった。歴史は古く清少納言の枕草子にも「湯は七栗(榊原)の湯、有馬の湯、玉造の湯」とうたわれ、日本三名泉のひとつになっている。露天風呂をはじめ、様々に工夫をされたお風呂があった。そのなかで冷泉に入ってみて驚いた。湯船のなかで身体を触ってみてビックリ。ツルンツルンしているのだ。入浴後もしばらくの時間、温泉の効能が残っているようで嬉しかった。

 思っても見なかったラッキーな一日であった。持つべきものは友だ。友こそ人生を豊かにしてくれる。感謝の気持ちを胸に、別れの時間が来てしまった。また会おう!友よ!

撮影2005年 夏