これまで花を見ても何も感じなかった。花を見る余裕さえなかった。生きることが最優先のなかで、花の持っている美しさを気付かずに、今日までただ走り続けてきたといってもいいかも知れない。 大阪市内の北東に鶴見緑地(鶴見区)として広域公園が開園したのは1972(昭和47)年のこと。この場所が後の1990(平成2)年に「花と緑の博覧会」(183日間開催)として、入場者2,312万人を集める大成功の花博となったのだ。「花と緑と人間生活のかかわりをとらえ 21世紀へ向けて潤いのある豊かな社会の創造をめざす」がテーマとなった。
その時に私も見学させて頂いたことを思い出す。その日は生憎の雨で、花をゆっくり散策して楽しむという天候ではなかった。というよりはその時の私は、花に対する興味は全くなかったのだ。今思えば申し訳なくも入場したという実績だけが残った | あれから15年が経過した。不思議なことが起こった。花を見て何も感じなかった私が、美しい花を求めて歩くようになったのだ。そして再び花博記念公園を訪ねた。シンボルの「いのちの塔(高さ90m)」に登って見える景色は大阪が一望できた。しかし客は私一人。「咲くやこの花館」にはちらほらと見学者に会えた。約2,600種類、15,000株の植物には実に見応えがあった。花の持つ一つ一つに個性があり、美しさ、可愛らしさ、豪快さ、逞しさを感じた。私は本当に感動した。時間のたつのも忘れ、いつまでも花と語り合っていたい私であった。 撮影2005年 夏
|
|