◆丹波篠山の名物

 兵庫県丹波地方は山間に囲まれた静かな町である。歴史は古く独自の文化が発達したようだ。そのなかで頭に浮かんでくるものといえば、まず「デカンショ節」であろうか。この歌は多くの学生や若者に支持され全国に普及していった。その理由に節回しが簡単で、手拍子が飛び出し、元気が出てくる不思議な歌なのだ。そして歌詞を創作するのが可能なことから、今なお多くの人に親しまれている。

「♪〜デカンショ デカンショで半年暮らす アヨイヨイ
あとの半年寝て暮らす ヨーオイ ヨーオイ デッカンショ
丹波篠山山家の猿が アヨイヨイ
花のお江戸で芝居する ヨーオイ ヨーオイ デッカンショ
灘のお酒はどなたが造る アヨイヨイ
おらが自慢の丹波杜氏 ヨーオイ ヨーオイ デッカンショ  〜♪」

 1973(昭和48)年の夏、東京代々木公園で全国故郷祭りが開催され、兵庫県出身者として参加したことがある。舞台の上で兵庫県をアピールするのだが、その時に元気いっぱい浴衣姿でデカンショ節を踊ったことがある。会場からは曲に合わせて手拍子が沸き、大いに盛り上がったことが忘れられない。地元では毎年お盆の時に「デカンショ祭り」が盛大に開催される。この時ばかりは町全体が祭り一色となり、数十万の見物人が楽しみにしている一大イベントなのだ。

 その他、牡丹鍋(猪肉)、丹波栗、丹波の黒豆、山の芋、野菜にお米。素朴な美しさを持つ丹波立杭焼。そして忘れてならないのは灘の生一本を支えた「丹波杜氏」の存在だ。酒造りの洗練された技術は父から子へ、師匠から弟子へ伝えられ、最盛期にはこの地域より5000人を超える人材が全国各地に出向いていった。

 私は自然がいっぱいで、素朴な古い伝統のある町・丹波篠山が大好きだ。

撮影2005年 夏