大阪の玄関はJR大阪駅。正面には阪神電鉄が乗り入れており阪神百貨店がある。東側には阪急電鉄があり、そこには阪急百貨店がある。いずれも大阪・梅田の顔であり、歴史を見つめてきた生き証人でもある。特に世界初のターミナルデパートとなったのは阪急百貨店で、1929(昭和4)年に開業している。 1964(昭和39)年の春休みに、阪急百貨店でアルバイトをさせて頂いた。大食堂の裏方で皿洗いが主な仕事であった。一日400円の日当はあまりにも安かった。そこから昼食代を引くといくらも残らない。社員食堂は若くて綺麗な女性が圧倒的で、なぜか皆が夏みかんを必ず食べていた。美容と健康に良いのかも知れない。何も余禄はなかった。しかしシューマイを作っている従業員が、熱々のシューマイを毎日一つ食べさせてくれた。嬉しかった。美味しかった。忘れられない感謝の思い出だ。 阪急百貨店のこれまで果たしてきた意義は誠に大きいものがある。単に百貨店として多くの人を引き付けただけでなく、梅田という繁華街の核として、中心として街の繁栄に貢献してきたのだ。私の高校時代はあまりお小遣いに恵まれなかった。しかし阪急百貨店のカレーライスが大好きであった。これほど美味しいものは無いと思えた。色は濃い目の少々辛口に、大人の味を感じさせた。 |